制動距離
超音波センサ等を使い、障害物に当たらない車があります。障害物を早く正確に知らせるセンサが必要ですが、車をより正確に止めるためには制動距離について知らないと正確に車を停止することは出来ません。では、制動距離について考えてみましょう。
目 次
人が運転する車で、障害物を感知してからブレーキを掛け停止するまでの距離を停止距離といいます。勿論、ロボットも同じです。下に比較表を表示しました。
位置 | 人 | ロボット + 超音波センサ |
① | 障害物を確認 | 指定された距離に障害物が近づいた事を判断する |
② | ブレーキをかける動作をする | モータ停止の指示を出す |
③ | ブレーキが効き始める | モータ停止 |
④ | 車が完全に停止する |
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停止距離の計算は
停止距離 = 空走距離 + 制動距離
x = x1 + x2
〇 空走距離:ブレーキを踏むまでの距離(反応時間)
空走距離 = 反応時間(秒)×車の速度(m/s)
〇 制動距離:ブレーキを踏んでからの距離
エネルギー保存の法則より
運動エネルギー=摩擦がした仕事
例えば、
時速60km/hで反応時間は1秒間、摩擦係数 0.75 であった場合
x=0.28×1×60+60×60/(254*0.75)
x=35.7 m
停止距離 35.7 m
- 次の要因が挙げられます
-
- 路面とタイヤの摩擦係数
タイヤ形状や接地面積・摩擦係数の高い材質などで制動距離が異なります。
・路面状況により、制動距離が異なります。
乾燥した路面
濡れた路面
アイスバーン
・タイヤ形状や材質やタイヤパターンの違い
スリックタイヤ(レーシングタイヤ)
レインタイヤ(レーシングタイヤ)
通常タイヤ
スノータイヤ
オールシーズンタイヤ など
- 反応時間
ロボットがディジタル回路で超音波センサを使用し障害物を感知する時、空走距離は勿論生じます。その説明は別の機会で行います。 - スピード
・空走距離は車の速さに比例
速さが2倍になれば空走距離も2倍
速さが3倍になれば空走距離も3倍
・制動距離は車の速さの2乗に比例
速さが2倍になれば制動距離は4倍
速さが3倍になれば制動距離は9倍
速さが4倍になれば制動距離は16倍
- 路面とタイヤの摩擦係数
路面とタイヤの接地面積が大きいと摩擦係数が高く停止距離が短くなり、また摩擦係数が高いことによりグリップ力が高くなりよく動力を伝達できるため、レーシングカーはサーキットで乾いた路面で溝のないスリックタイヤを履くと高いパフォーマンスが得られます。
計算式より、車の制動距離は重量に影響しません。
国土交通省では、ブレーキ性能試験で重量が異なる乗用車と1BOXでも制動距離の差は無いデータが公開されていす。